
思い出のクラブマン
私は若いころからバイクが好きで、18歳の時に中型免許を取って以来、25歳ぐらいまでいろいろなバイクに乗っていました。ホンダのスティード、スズキのバンディット、カワサキのKSRなど、バイクのタイプも排気量も問わず、その時々でカッコイイと思ったバイクにいつも乗っていました。
それほどお金もなかったので、購入するのはいつも中古のバイクばかりでしたが、条件さえ落とせば、中古車でも十分気に入った車種を見つけることができました。また引っ越したり飽きたりで、バイクを手放さないといけなくなった時は、レッドバロンやバイク王などで引きとってもらいました。買取価格はものすごく安かった(涙)ですが、それでも買取に手間も時間もかかりませんでしたので、私としては満足いく形で買い取ってもらいました。
しかし25歳になったとき、バイクに乗ることができなくなってしまいました。ちょうど結婚し、子供が生まれたため、バイクに乗ることを妻から強く反対されたためです。長年楽しんできた、私の唯一の趣味ともいえるバイクから離れることは大変残念でしたが、バイクは確かに危ないということも理解できます。私は妻の意見を取り入れ、バイク生活を一旦封印することにしました。その3年後、もう一人子供が生まれ、さらにバイクに乗ることは難しくなり、次第にバイクに乗りたいという欲求も忘れつつありました。
しかし、その後35歳になった時に、私のバイクライフに大きな変化を与える出来事がありました。会社の都合で急遽福岡への転勤が決まったのです。私にとって九州は初めての土地。そしてバイク乗りにとって九州はツーリングスポットの沢山ある、夢のような場所でした。赴任して半年ほどで私はバイクに乗りたい欲求がどうしても抑えられなくなりました。妻に話しましたが、子供もまだ小学生なので我慢してほしいとのことでした。それでも諦めきれず粘り強く交渉した結果、一年限定でバイクに乗らせてもらえることになりました。
私はすぐに近くのレッドバロンで中古のホンダ・クラブマンを購入しました。そこからの一年はそのクラブマンで走り回りました。阿蘇山から高千穂、長崎の生月島、足を伸ばして広島の尾道へのツーリングなど、10数年溜まったバイク欲求を取り戻すかのように、月に一回のペースでツーリングに出掛けました。約束の一年でバイクを手放すことなった時、今まで乗っていたバイクよりも多くの思い出と思い入れがあったからか、さすがに少し感傷的になりました。買取価格は相変わらず低かったですが、十分楽しんだので後悔は何もありませんでした。
また10年後、私は次はどのバイクに乗ろうかと今から考えています。